本を読み始める度にいつも頭に浮かぶ、「人生のうちに読める文字数は決まっている」なんて都市伝説がある。週刊誌の編集者であったり超有名ブロガーの可読寿命は短いのだろうか。ましてやSNSの蔓延る今の時代、ぼくのような意味もなくTLを眺める人間は多いのだろう。
ここ一年はほとんどゲームに関する本しか読んでいない気がする。図書館にはそうそう見ないため、大抵は買うことになる。書店で探してもなかなか見つからないため、専らAmazonを使っている。気が付けば本棚の容量を超えるほどに増えた。
今回はぼくの本棚のゲーム本でも紹介してみる。いくらか前に紹介した分を省いておく。流石に同じ本の紹介文にバリエーションを出すほどの芸当は持ち合わせていない。
まずはプロゲーマーが著した三冊。まとめて紹介するのは申し訳ないほどに良い本。『日本人初プロスマブラーの軌跡』、『東大卒プロゲーマー』は自伝に近い。それぞれスマブラDXのaMSa選手、ストⅤのときど選手が書いたものである。プロゲーマーになれるような人間は、幼少期からゲームに対しての熱意があるものだと考えてしまった。人生を通して一つの物事を極めようとする姿勢はゲームでも素晴らしいものであると思う。
『勝ち続ける意志力』はあのウメハラ選手から。何年もプロゲーマーであり、上位であり続けるその考え方の詰まった一冊。すべての対戦ゲーマーは読むべきものだと思う。ぼくも何か自分ができるものは、と一丁前に考えるようになった(結果として医者で上必殺を擦るようになったわけだが)。ウメハラ選手には他の著書もあり、それらも余裕ができれば買いたいところ。
DeToNatorは革命を起こさない ゲームビジネスで世界を目指す
- 作者: 江尻勝
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/03/30
- メディア: 単行本
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日本で最も多くのゲームタイトルでプロゲーマーを持つであろう(あまり詳しくない)DeToNatorの代表、江尻勝氏による書籍。これからの日本のEsports界にあるべきゲーミングチームの考え方を綴っている。
理想ではあるものの、実際にEsportsチームが生産性を持つ一つの組織として活躍するのであれば、江尻氏の方針は正しいと思う。将来的にJeSUがチームを支援する形になると思うが、Esports界をどのようにしていきたいのか明確でなければ、新たに声を上げるのも難しくなるのではないか、などと余計な想像もした。
ともかく、まずは令和となった今年のEsports界が楽しいものになることを願うばかりである。
タイトルの通りである。現在は総務省認定の地域力創造アドバイザーなどを務める著者、小幡和輝氏が考える、ゲームとの向き合い方について書かれている。
ぼく自身子供の頃からゲームばかりしているような人間であったが、ようやく今の時代になって少しゲームというものが日の目を見るようになってきたかな、と思う(未だに悪印象を持たれていたり、逮捕時の報道にゲームが押収されたと言われるが)。この本で語られているゲーム像は間違っていないが、悪い面もあることは仕方ない。それを含めても、これからぼくが小幡氏のように「ゲームって面白いんだぜ」っていろんな人に言うならば、押し付けるのではなく耳を傾けてもらえるような話ができるようになれればいいなと思った。
さて、ここからしばらくはゲーム史にまつわる本となる。『それは「ポン」から始まった』(以下、『それは』と表記)は、2005年が初版と今から見れば「これからいろいろ面白くなるぞ」 という時代である。しかし、現代のゲームの前身、エレメカから詳細に紹介されている本はあまりない。また、他のゲーム史書籍に引用されるほど、様々な出来事や物品について触れている。ゲーム史を知ろうとしたときに初めに読むのにおすすめの一冊。
日本デジタルゲーム産業史: ファミコン以前からスマホゲームまで
- 作者: 小山友介
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 2016/06/27
- メディア: 単行本
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続いてこの二冊。どちらも近年に発売されたとあってスマホゲームについても取り上げている。『それは』の次に読むならこの二冊。どちらもゲームハードと共に進化してきたゲームソフトの発展を『それは』より詳細に取り上げている。
『日本デジタルゲーム産業史』は実際の数字を出しつつ、ゲームに対して一定の評価を下す書き方であり、企業やハードが時代と共にどう変わっていったがわかりやすい。
対して、『現代ゲーム全史』はソフトとユーザーの関係、ゲームの遊び方の移り変わりに着目している。ぼく個人としては、当時のゲームソフトにどのような特色があり、どう楽しまれたかを知ることができ、こちらは読み物としても面白いと思う。
レトロゲームと呼ばれるゲーム達が出た時代、世間はどんな反応だったのかを知る良い資料である。
こちらはタイトルの通り、ハードに重点を置いた一冊である。よくゲーム会社によるハード伝道競争を「ゲーム戦争」などと比喩されるが、各ハードが何とどのように競っていたのかを知ることができる。
家庭用ゲーム機の名前が挙がる数なら、おそらくこの本が紹介する中で最も多いと思う。ファミコン以前に群雄割拠と出た国内ハードはもちろん、PCエンジンの周辺機器もほぼ網羅されているのが良い。ぼくはこういう細かい話がすきである。
ただし、終わりのないゲームハード戦争に火薬を持ち込むような話でもあるため、「ハードは〇〇がナンバーワン!」という方にはお勧めしない。
こちらは「ゲームはボタンを押すものにストーリー性を持たせたものである」を軸にゲーム史を紹介する 。上記四冊とは違い、多くのゲームに触れてはいないが、ゲーム史(ゲーム文化と言うべきか)をうまく説明している。上記の本よりはいくらか読みやすいはずである。 他と違い「ゆるく」ゲーム史をたどっているため、わかりやすいと思う。
分厚さで言えば結構違う
- 作者: 限界研,竹本竜都,宮本道人,北川瞳,草野原々,小森健太朗,蔓葉信博,冨塚亮平,西貝怜,藤井義允,藤田祥平,藤田直哉
- 出版社/メーカー: 南雲堂
- 発売日: 2018/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この辺りからゲーム史とは離れてくる。
この本の裏表紙にあるゲームタイトルにピクリと反応するものがあるなら買いである。作者の項目の人数が多めなところからわかるように、アンソロジー的にゲームについて語る。最近出版されたものとあり、ここ数年のゲームが特に触れられている。
ちなみにぼくのお気に入りは「パチンコのゲーム性の変遷」。電子遊戯としては別の世界線を歩んできたパチンコについてはノータッチだったため、かなり興味深いものであった。ただ、ぼくはギャンブルにのめりこみすぎるため、、パチンコはそうやらないと思うが。
横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力
- 作者: 横井軍平,牧野武文
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2010/06/25
- メディア: 単行本
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任天堂にてヒット商品を生み出し続けた横井軍平氏の玩具に対する思いの書かれた一冊。
何に関してもそうであると思うが、新しいもののどこかは古いものを参考としている。あの「枯れた技術の水平思考」だ。問題に対してどこかに眠る解決策を引っ張り上げる考え方は、人生の教訓としても頭に入れておきたいものである。
『星のカービィ』、『大乱闘スマッシュブラザーズ』生みの親、桜井政博氏の書いたコラムをまとめた一冊。タイトルにもあるように、おおよそスマブラfor発売~スマブラSP発売辺りまでの期間の話である。
「ゲーム作りはタイヘン」「がんばって作りました」などとそこそこの頻度でツイートしている桜井氏だが、実際の制作の裏話を聞くと誇張ではないなと思う。ユーザー視点からは見えない技術的な話は面白い。
これからのスマブラSPはまだまだ面白くなるはず。申し訳ないが、桜井氏に休む時間はしばらく来ないのだろう。
ちなみにぼくの「ゲームについて思うこと」はここからきている。なんか申し訳ない。
「ゲームとはなんぞや」を突き詰めた論文。そこそこのゲームを遊ぶうちにわからなくなってくるこのテーマを様々な学問から見て研究している。ゲームを語る際には必ずこの論文が登場する。
いつも「こいつは面白い」と遊ぶゲームも、「どこが面白いのか」「何がゲームをゲームたらしめるのか」と考えていくとここまで深いものになる。いつものゲームが少し変わって見えてくるかもしれない。
以上。
だいぶ長々と書いた気がするが、一冊あたりの紹介文の文字数はそうでもない。読書感想文が苦手故のものである(言い訳するな)。
ゲームオタクはとりあえず書店で見かけたら立ち読みしてみるといいかもしれない。きっと今までのゲームに対する見かたが変わるだろう。
なお、Amazonのリンクとして貼っているが、ここからポチってもぼくに収入はないため、気にせずポチってほしい。というか買え。