都内に来てからやたら目に入るのが情報の多いカレー屋。厳密にはカレー以外の食事も提供している店舗もあるが、あまりにもカレーの印象が強いのでカレー屋とする。立ち入りにくさとカレーの食べたさの噛み合いが難しいので頻度は高くないが、行ったら行ったでお腹いっぱいカレーを楽しむ。
こういったカレー屋の楽しみとしてナンがある。顔3個分くらいの大きさでアッツアツ、ちぎればサクサクかじればフンワリのあのナン。カレー本体に価値がないわけではないが、極論同種のカレーは無印良品なるレトルトカレー屋に置いてある。よって種類を楽しむのが難しいナンを食うのが正解である。
という話をしたくて昼に『それっぽいカレー屋』に来た。外壁に貼られるステッカーと怪しい文字列のメニュー表を脇目に中へ。明るい橙色の木の内装と細長い部屋の作りはなぜかどの店も共通な気がする。周りに誰もいない店に一人、インドっぽい人の案内で角席に通され、ポンとメニュー表を置かれる。
チラッと見て店員さんに注文。
「すんません、ランチAセットください」
「カレーは?」
「6番のチーズチキンを」
「ドリンクは?」
「ラッシーで」
ここまではよかった。
「なにたべますか?」
「え、カレーを…」
「ちがう、なにたべる?」
まさか、時が巻き戻り再度注文を取られるのである。脳みそが止まる。食べたいものはカレー、間違いなく、正しく伝えたはずである。番号まで把握できていないのかもしれない。
「チーズチキンカレーを…」
「カレーじゃない、なにたべる?」
カレーではないのであれば多分セットを聞いているはず…。
「Aランチ…」
「ちがう…」
「…」
流れる微妙な空気。この噛み合わなさはなんだろう。
と思っているところで店員さんが隣のテーブルからメニューの一部を指す。
ナン / ライス
から選べます!
「なんからいすどっち?」
「あ、ナンで…」
カレー美味しかったです。ナンもおかわりして2枚食べました。また来ます。