あんかけが書く

かきたいことをかきます。

久しぶりに高速バスに乗っている話

 朝から失礼します。あんかけです。

 今から高速バスに乗る。無職という時間セレブな職業のうちに、地元の友人と遊びつつ、岐阜スマに顔を出すために関東→名古屋(岐阜にバスはほぼ来ない)を往復する予定。暇なのでバス内の出来事でも綴る。

 

 00:20

 バス停車場前にチラホラと人がたかる。「こいつらが同乗者か…」と天下一武道会予選前のような雰囲気の中、メンツを伺う。

 時期が時期なだけに、夏休みが終わる前にと旅行に行くのであろう大学生が多い。もちろん普通のおじさまも。無職という"高み"から世の中を見ていると、周りと隔絶された漢を見つけた。

 

 00:25

 漢は3人がけベンチをまるまる占領するかのような空間の取り方をしている。漢は端にしか座っていないにもかかわらずである。体の何処かが緊急警報を鳴らしているが一つ開けて漢の横に座る。

 

 瞬間、Bad Smellが鼻孔を巡った。

 

 おそらく柑橘類の実が成熟しきってから夏場に3ヶ月放置したような。口にしてはいけない、手にとってはいけないと本能に語りかける芳香。思わず席を立ってしまう。

 

 00:30

 何かに負けたぼくは柱にもたれ、バスを待つ。脳裏にこびりついて離れないあの薫りをもう一度嗅細胞から伝達させぬよう、席に距離があるよう祈る。

 

 00:32

 ほどなくしてバスが来る。運転手さんに名を伝え、バスに乗り込む。席は入り口近く。荷物を棚に置き、ふと目線を下げると漢がいた。幸い、後ろの席であった。隣の人は餌を求める鯉の如く口を開けていた。新鮮な空気が欲しいのだろう。

 隣の人はガタイのいいニーチャン。ワンパンで十割持っていかれそうなため、穏便に(別に穏便以外の手段はない)。荷物上げとか手伝った。

 

 00:33

 前の席も揃い始める。ここで行われるのは恒例のアレ。

 

 「すんません、席下げていいすか?」

 

 これ、Yes以外に回答があるのか。大体聞く人は既にレバーに手をかけているため、断られない前提なのだ。断っている場面を見たこともなく。正直このくだりは不要で面倒だと思っているため、人生でシートを下げたことがない。

 それでもって斜め前の人が顔が完全に見えるレベルに下げる。結構行くな…。度胸がある。

 

 ここも適当に済ませ、イヤホンをつける。SoundCloudを起動。今日はこれ。

ゲームオーバー (feat. TORIENA) by Yunomi | Free Listening on SoundCloud

 再生ボタンを押すと、スピーカーから流れてしまった。イントロのうちに済ませられて良かった。なにより、こっちじゃなくて良かった。ニーチャンを怯えさせずに済んだ。

USA0 - うんち.mp3(世界を元気にしちゃえRemix) by 三代目・J・Soul・ちんち〇からアーメン出るマン | Free Listening on SoundCloud

 

 00:40

 バス、出る。細やかな揺れに身を任せ、しばし微睡むこととする。時間が過ぎれば良いが。

 

 01:35

 目が覚めた。クソみたいな時間である。到着まで6時間はあるというのに今起きても仕方ないのである。車内は真っ暗、特に視界に変化はない。強いて言うなら前の席の人の頭部だけが倒れて髪が滝のようになっている。一種の芸術である。

 思い直して自分も頭部を確認する。案の定後頭部が豊臣秀吉の兜に近い状態であった。このまま前髪は直江兼続になれば面白いが、そんなエキセントリックな座席は無い。

 もう一度目を閉じる。

 

 02:00

 うまく寝付けぬまま休憩地点に着く。全く違う曲を聞いているのだが、頭の中で「お願いマッスル」に合わせてガオガエンが上スマを振っているせいで集中できない。こうなるともう何をしても駄目である。

 とりあえずお手洗いに行き、不安要素をなくす。バスに戻るが席がない。車両を間違えた。同じ時間に同じ会社のバスを同じSA・PAの近い駐車場に止めないで…。本来の車両に戻ると空気が少し違った。漢のかほりであった。ここまでの存在感を出す漢をぼくはそんなに知らない。隣の席のニーチャンはシゲキックスを食んでいる。つられてよだれが出る。

 ちなみに今はこれを聞いている。

空中分解 feat.アンテナガール - ダイレクトメッセージ(Hige Driver REMIX) by higedriver | Free Listening on SoundCloud

 

 04:20

 車が動きを止め、照明が付いた。完全に意識を失っていたらしい。少し前に座っている隣のいないニーチャンは贅沢に寝ている。そこかしこから寝息の立つ車内はなかなか不思議な雰囲気である。ここで「ザメハ!!!!!!!!!」とか叫んでみたい。袋叩きにされるのだろうか。

 少しSA・PAを歩く。鳥取の回でも書いたが、深夜のSA・PAの雰囲気がすきだ。ぽつんとある高速道路ゆえの真っ暗な山中に煌々と輝き、ちょっと綺麗にしようと背伸びした建物。そこに歩くまばらな人影。充実したお土産売店と微妙なラインナップの食堂。完璧。良い。

 垂れ流しにしていたプレイリストも終盤に差し掛かる。昔リストに突っ込んだ曲で終わりを感じてしまう。まだここから映画一本分はあるが。

Will You Kiss Me by tekalu | Free Listening on SoundCloud

 昨日が01時〜14時まで寝ていてよかった。文字にすると凄まじい生活リズムだが、無職であることに感謝する。

 問題はここから再度意識を失うことができるかどうかである。頼むから催眠薬でも散布してほしい。

 

 06:05

 どうやら気絶している間に下道へルートが進んでいるようだ。それでも地図を見る限り無限に距離があるのだが。新幹線は偉大である。

 もう寝られない気がする。音楽で時間を誤魔化していく。

 

 06:30

 そういえばと祖父母の家に連絡する。到着時刻は伝えていたがズレは発生する。念の為。平日の午前に孫が寝に来るのも向こうサイドとしてはどう思うのか。残念な孫になった。申し訳なくはない。

 流れていたのはこれだった。親族各位に謝りたい。

GENKOTSU 70's by 中田氏大百科(NxDx) | 中田氏大百科(Nx Dx) | Free Listening on SoundCloud

 

 07:30

 やっと着く。ここからまた乗り物かと思うと気が重い。少し寝てから今日もウキウキでがんばります。