前から言っているけれど、自分は悪人ではないと思っている。「善人である」と言わないのは善人とは思わないからだ。ここ最近、自分の道徳を試されている出来事が3回ほどあって困った。その度、「善人ではない」選択肢を取っている。今回はその羅列の話。
1つめ
いろいろあって本屋で取り置きをしてもらうことになり、その店での出来事。レジにて名前を告げてくださいとのことだったので、店内を散策し、たまたま見つけた文庫本4冊と共にレジへ。
持っていた文庫本を置き、取り置きのある旨と本のタイトルと名前*1を告げた。店員さんが後ろの棚から取って来て、会計をする。合計金額は3000円ちょっとの記憶。レシートは出費した実感を得てしまうので貰わない。
カバーをかけてもらい、店を出て、ちょっと歩きながら「なんか安いな……」という違和感を「お得やったな！」に変換しつつも不安。このまま気が付かないフリをしてお得だと思っておけばいいものを、道の端でカバンを開けて足し算し、取り置きされた本が会計されていないのを確認。
急いで本屋に戻り、列に並び、レジで「すみません！この本会計されてないです！証拠はあそこのレジの店員さんが使う不要レシート入れです！そこにこれらの本の会計がなされたレシートがあるはずです！この本は取り置きしてもらったものなので、名前も出ているはずです！」などとのたまう変人となり、無事正しく会計することができた。こういう場合、本だけ会計するのではなく一回全部返品扱いにしてから会計するらしい。合計5000円に満たない程度。これで良い。店員さんに謝られつつ、自分も誤りつつ。不思議な空間になった。
自分が違和感を持った時点で計算し直して引き返すべきだったにも関わらず、なんだかんだとモタモタ歩いて逃げようとしたのが大幅減点。万引きにならず良かった。
2つめ
これは待ち合わせ前に時間を潰しがてら入った古本屋の出来事。ちょっと良さそうな本があったので3冊購入。古本かつコピ本のような作りだけあって状態はあまり良くない。ペラペラとめくるとかなりのメモ書きのされた封筒が挟まっている。中身を透かしてよく見るとおそらく旧1000円札。ロクに中身を見ずに値付け、陳列されていることに驚きつつ、挟み直してみるとほとんど気が付かない。長期間の圧縮によりページが封筒の形に最適化され、「ショーシャンクの空に」のピッケル入り聖書のようになっていた。
古本屋で古本を買った場合、その中に挟まったオブジェクトの所有権も含めて購入することになるかはわからないが、黙っていれば本を買って金が増えることになる。
とりあえずレジに持ち込み、会計する。野口英世を提出し、端数の小銭を出す段になって良心が咎めた。
「すみません、そういえばその本、なんか封筒挟まってます」
店主さんが中身を確認し、スッと封筒を抜き出す。会計は何事もなく終わり、退店した。
事の顛末を合流した友人に話すと、
「アド損じゃん、ちょっともったいないね」
とのこと。元々普通に会計したことと何ら変わりはないので何事もなかったということで。
3つめ
外出からの帰り道、駅前の通りをとぼとぼ歩いているときの出来事。目の前を歩く女性2人組を追い抜きたくてイライラしていた。
片方の人がイヤホンを落とした。いつも下を向いて歩く陰の者なのですぐに気がついた。声をかけるのも面倒で拾う労力をかけるのもアホらしいと思ったので見過ごしてとぼとぼ歩いた。
だが、現場を見たのが自分しかおらず、周りの人間は落ちた物体に興味がない。落ちた物体と目の前の女性を関連付けられる自分は自分しかいない。いやでもめんどくさいな〜〜〜と思いつつ振り返るとイヤホンは30m彼方。
ここまで歩いてもう誰も反応しないなら自分が行くしかない。ダッシュで取ってダッシュで戻り、息切れしながら声をかけ、無事持ち主の元へ。
そのまま歩いていれば女性視点では「落とし物に気が付かず紛失した」と変わらず、今回の自分の行動で「落とし物に誰かが気がついて手元に返ってきた」という結果に好転したことになる。
対して自分はめんどくせ〜〜〜〜と思って見逃し、後からダッシュした分が損になっている。そして何もしなかった場合には、微妙な気持ちのまま次の日を迎え、ちょっと一日の価値が落ちるため、その分損となる。このことから、自分のような性分ならば、落とし物はさっさと拾ってさっさと渡すのが一番損をしないということがわかった。今後は悩まずそうします。
以上。自分がグレーゾーンを踏めない特性を理解した上で、それなりに人間社会を過ごそうと思いました。
ちなみに本を買うエピソードが2回もあるが、本を買いすぎて机が大変なことになった(身内イベントのために積んでいるものも含まれているが)。片付けはこまめにしましょう。
*1:あんかけです
